しっとりとした生地にたっぷりの卵と砂糖の甘み——カステラは今や日本を代表するお菓子のひとつですが、その起源はポルトガルにあります。16世紀の大航海時代、南蛮貿易の窓口となった長崎に持ち込まれたポルトガルの菓子が、日本人の手によってどのように変化し、独自の文化として発展したのかを見てみましょう。
カステラの原型となったのは、ポルトガルの菓子「パン・デ・ロー」です。16世紀半ば、ポルトガルの宣教師や商人が長崎・平戸に来航した際に持ち込んだとされています。「カステラ」という名称は、ポルトガル語の「カスティーリャ」——スペインの地名——に由来するという説が有力です。
日本に伝わったカステラは、日本人の好みに合わせて少しずつ変化していきます。水飴や蜂蜜を加えてしっとりさせ、底にザラメ糖を散らす「長崎カステラ」の形式が確立されたのは江戸時代のことです。長崎の老舗・福砂屋(1624年創業)は日本最古のカステラ店として知られており、創業当時の製法を守り続けています。
現代のカステラは長崎の名産品として全国・世界中に知られています。抹茶・チョコレート・黒糖など味のバリエーションも豊富になり、また台湾でも「台湾カステラ」として独自の進化を遂げています。ポルトガルから届いた一枚の菓子が、400年以上の歳月をかけて日本の食文化に深く根付いた——そのドラマチックな歴史に思いをはせながら、長崎カステラをひと口味わってみてください。