もちもちした皮の中にたっぷりのあんこ。大福餅(だいふくもち)は、老若男女を問わず愛される和菓子の代表格です。コンビニでも手軽に買えるほど身近な存在となった大福ですが、その誕生には江戸時代の庶民の知恵と工夫が詰まっています。今回は大福餅の元祖とその歴史をたどります。
大福餅の前身とされるのが「鶉餅(うずらもち)」です。江戸時代中期(1700年代)、江戸の露天商たちが売り歩いた小さな餅菓子がその起源とされています。当初は小豆あんを薄い餅の皮で包んだだけのシンプルなもので、「腹が膨れる」ことから「腹太餅(はらぶともち)」とも呼ばれていました。それが次第に「大腹餅」となり、縁起を担いで「大福餅」という名前に変わったといわれています。
江戸時代後期になると、大福餅は江戸の名物となりました。夜に「大福餅〜」と売り歩く屋台商人の声は、当時の江戸の風物詩だったといいます。明治以降は和菓子店が店舗で販売するスタイルになり、品質も向上しました。
現代の大福はバリエーションも豊富です。イチゴ大福は1980年代に登場し大ヒット、生クリーム大福や抹茶大福、チョコ大福など、さまざまなアレンジが登場しています。元祖の「腹太餅」から発展を遂げ、今や日本のスイーツ文化を代表する一品となった大福餅。その素朴な甘さには、江戸の庶民が愛した温かさが今も息づいています。