カステラといえば長崎——この印象は日本人の間で確固たるものとなっています。長崎は鎖国時代にも外国との貿易窓口として開かれており、その文化的土壌がカステラをはじめとする南蛮菓子の発展を支えました。今回は長崎のカステラ文化を担ってきた老舗たちとその歴史をご紹介します。
長崎のカステラ老舗の中で最も古いとされるのが「福砂屋(ふくさや)」です。1624年(寛永元年)の創業とされており、日本最古のカステラ店として知られています。福砂屋のカステラは卵を泡立てる際に手で混ぜる製法を現在も守っており、底にザラメが敷かれた独特のしっとり感と甘みが特徴です。次いで「松翁軒(しょうおうけん)」(1681年創業)、「文明堂(ぶんめいどう)」(1900年創業)なども長崎カステラの代表格として知られています。
長崎のカステラが全国に広まったのは、明治以降に鉄道が整備されてからです。旅行者が長崎土産としてカステラを持ち帰り、その品質の高さが口コミで広まりました。文明堂は東京に進出して以降、全国展開に成功し全国的な知名度を得ました。
現代の長崎では、カステラは観光の目玉の一つです。老舗の工房見学や、焼きたてカステラの試食ができる店も多く、旅行者を引きつけています。抹茶・チョコ・五島灘の塩など様々なフレーバーのカステラが並ぶ長崎の土産物店は、まるでカステラの博物館のよう。南蛮貿易の遺産は、今も長崎の食文化の誇りであり続けています。