伊勢神宮への参拝者を長年お迎えしてきた「赤福(あかふく)」は、日本で最も有名な和菓子のひとつかもしれません。やわらかな餅をこしあんで包んだシンプルな菓子ですが、その滑らかな食感と上品な甘さは何百年も変わらず、伊勢参りの記念として多くの人の心に刻まれています。
赤福の創業は1707年(宝永4年)です。現在も同じ場所・おはらい町(内宮前)で営業を続けており、300年以上の歴史を持つ老舗中の老舗です。「赤福」という名前は、「赤心慶福(せきしんけいふく)」——真心から幸せを願う、という言葉に由来するといわれています。あんこの三つの山と溝は、五十鈴川の流れと川のほとりを象徴しているとされています。
赤福の最大の特徴は、その徹底した品質管理と新鮮さへのこだわりです。「当日製造・当日販売」を原則とし、売れ残りは販売しないという方針を長年守ってきました。箱を開けたときの白い和紙と赤福の色の対比も美しく、「伊勢みやげ」として絵になるお土産です。
現在でも赤福は伊勢・近鉄各駅やサービスエリアで購入でき、全国各地に配送も行っています。また夏の「赤福氷」(かき氷の中に赤福が入ったもの)も夏季限定の名物として知られています。伊勢神宮という聖地と結びついた赤福の歴史は、日本人の信仰と食文化が交差する特別な物語を今も語り続けています。