仙台のお土産として全国的に有名な「萩の月(はぎのつき)」。ふんわりした黄色いカステラ生地の中に、なめらかなカスタードクリームが包まれたその姿は、まるで仙台の夜空に浮かぶ満月のようです。現在も仙台空港・仙台駅などで飛ぶように売れる人気土産ですが、その誕生は比較的最近のことです。
萩の月が誕生したのは1979年(昭和54年)のことです。仙台の老舗菓子メーカー「菓匠三全(かしょうさんぜん)」が開発し、発売しました。名前の由来は、宮城野の萩の花の向こうに浮かぶ月をイメージしたもので、仙台の地名「宮城野」に秋に咲く萩の花と月を組み合わせた雅な命名です。
萩の月の成功はその後の仙台土産業界に大きな影響を与えました。他のメーカーも類似商品を開発し、仙台では「月を模した菓子」が土産の定番ジャンルとして確立されました。萩の月の特徴である個包装のシールを集めると応募できるキャンペーンなども、ファンの心をつかみました。
現在でも萩の月は年間を通じて高い人気を誇り、仙台空港の売り場では常に売り切れになるほどです。冷やして食べるとよりなめらかな食感になるとして、購入者の多くが保冷剤をつけてもらっています。昭和に誕生した一つの菓子が、半世紀近くにわたって東北を代表する銘菓であり続けているのは、それだけ完成度の高いおいしさがある証拠といえるでしょう。